ぽてこ日記

日記とか

2017 8/12 コミケやら祭りやらちょっとした出会いとやら

 先日、ブログを初めて書いたが好評なようでとても嬉しい。まるで子供のようだが、文章を書き、そして読んでもらうことはこの上なく良い気持ちだ。どうやら自分にとって日記というものはどうも書きたいことをたくさん書いてしまうようだ。そういえば、小学生の時も枠をはみ出してたくさん書いていたなあ、と。ということで今回の日記へと参ろうか。

 

 あれま真夏なのに梅雨のような天気。あらら季節が入れ替わってしまったのかね。こういう日、用がない限りは動くのがとても億劫なものである。東京では14日連続で降雨らしい。2週間とはなんと長いことだろうか。プロ野球なら4カードは消費している。本当に長い。

 

 その中で運良く晴れた8月12日の土曜、コミックマーケットとやらに行ってきた。

 

 企業ブースは結構お高目な上、買ってもメリットを感じないものが多いと感じたので、Twitterでちらっと見て、良いなあと思った評論系の同人誌を買うべく、有明へと向かう準備をした。

 

 当日はプレミアリーグの開幕戦があったので夜を通して起きていたが、超人気サークルに並ぶだとかがないので、始発など全く気にする必要がなく、朝は少しゆっくりと8時半過ぎ、そして出来るだけお金をケチるため、時間がかかりつつもメトロ・ゆりかもめなど4つの路線を乗り継ぎ、11時前にビッグサイトに到着した。

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 電車からホームに出た瞬間、臭い。まだホームなのにもう臭いというのか。とにかく臭い。気持ち悪い。吐き気がする。私は豚小屋という名の強制収容所に罪もなく連行されてしまったのだろうか。

 考えてみれば、身だしなみなど1mmも気にせず汗まみれ、もうとにかく気持ち悪い、おそらく世間一般が最も侮蔑しているであろうカーストの最底辺、“オタク”というものが何千、何万と来ているのだ。当然である。

 ここに来るオタクの何割かはハルヒらき☆すたが流行った10年前、いやそれ以前と風貌が全く変わらない。いつまで電車男に憧れているのだろうか。未だにエルメスを助け、お礼にカップをもらい、そしてお付き合いに…とでも思っているのだろうか。もし伝統を守ってくれているのなら、それは大変失敬なことを言ってしてしまった。逆にありがたいというべきだ。そんな彼らに感動を覚えるとともに、敬意を表するばかりだ。

 お国様が推し進めているクールジャパン政策も、チェック柄の裏側に秘められた、アニメやゲームなどの知識・他人の恋愛への嫉妬を脂肪として溜め込んでしまった、かつて“サブカル”の立場として肩身を狭くして生きてきた強靭なオタクの腹で跳ね返してしまうだろう。

 まあ今の“メインカルチャー”となったこの文化で生きている貧弱そうなオタクは、こういうものには弱く、目を輝かせ、挙って媚びていくものなのだが。

 話が逸れてしまった。頭を使わずともオタクの臭さや気持ち悪さ、一周回った彼らの素晴らしさには自然と納得・再確認をすることができる。

 

 とはいえ比較的ライトな層や、家族連れ、外国人もかなり多いと感じた。企業ブースの入場列では、お前ロッキン行くべきだろどこ来てんだよと思うような人もいた。自分もオタクというより下北沢か御茶ノ水あたりを悠然と闊歩しているTHE・大学生スタイルのはずなのだが。いや、セスクのユニを着ていた。これじゃまるで高校生だなあ。まあユニ着てたおかげでいろんな外国人に話しかけられたのは良かったし。トータルじゃプラスだろう。

 

 企業ブース。やはり臭い。というかここが一番臭い。私は本当に何か悪いことでもしただろうか。そう思ってしまうくらい臭い。私は何かを配っているのを見ているとつい貰ってしまうタイプなので、うちわやチラシ、クリアファイルなどノベルティグッズをたくさん貰ってしまった。まあ使わずとも後々資料として扱えばいいのだ。

 企業が中心であるが、アニメなどの舞台となった、いわゆる「聖地」を持つ自治体からやってきたところがあり、おおっという驚きの声が心の底から出た。遠くから本当にご苦労様である。

 

 そして企業をぶらぶらと見て、午後になる頃、同人を扱っている側に向かった。自分の見た限りでは、乗り物や紀行、ミリタリーなどの評論系、V系やおいなど女性向けの同人誌が多いと感じた。個人的にはMALICE MIZERという、Gacktのボーカルと独自の世界観で一世を風靡したヴィジュアル系バンドの同人誌があったのには大変驚いた。

 

 その中で、秋葉原に関する写真集を2つと、以前から購読している審判本、そしてかなり前からTwitterで気になっていた、通称“J2本”を買った。

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 詳しくは書かないが、どれもマニアックであり、本当に読み応えのあるものだった。もっとお金を出して買いたいレベルである。気になったら是非読んでほしい。

 

 2時過ぎ、そろそろここから動こうとする。が、ケチが取り柄の大学生は何を考えたか有明からレインボーブリッジ経由で秋葉原まで歩こうと思ってしまった。

 と、思うのは簡単だが、実際歩いてみるとキツくてキツくてしょうがない。水気があった朝の涼しさとは打って変わっての猛暑。そして甘く見ていたレインボーブリッジの坂。東京の坂として標を立てて良いレベル。足の裏ではなく、まるで股関節で歩いているような感覚だ。

 

 かれこれ3時間歩き秋葉原に着いた。私は毎週土曜都内を歩くのだが、どこからスタートしようと、絶対に秋葉原を最終到達点としている。アニメショップや街の状況を見て歩くというのもあるが、その日の疲れを癒しにラーメンを食べに来ているといった方が正しい理由なのだろう。自分の心も赤べこのように頷いている。

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 『秋葉原ラーメン わいず』という店だ。

 個人差はあるが秋葉原の最北端にある、と思う。神田に本店を持つ店の暖簾分けだ。豚骨醤油のスープにほうれん草。ラーメン論者がいなければ家系の範疇としても良いだろう。若さに鞭を打ち麵は硬め・味濃いめ・油少なめで頼んでいる。とにかく美味い。グルメレポーターでもないので表現力も屁のかけらもないが、中毒性とはまさにこのことを言うだろう。また若さに鞭打ち直し、胡椒ににんにくを入れ完飲をする。そのくらい美味いのだ。

 最近顔も憶えてもらえたようなので、秋葉原に通い続ける限り、私もここに通い続けるだろう。

 

 さて、食後は散歩をするというのが世の常だ。その数週間前、ここも毎週お詣りに行く神田明神に於て納涼祭りの中で盆踊りが催されるというポスターを目にした。ここの納涼祭りはメイドさん宮司さんと一緒に打ち水をしたりと、地域との交流を深める目的とはいえ、なかなか異端なことをしていることで有名だ。

 思えば盆踊りというものを経験したことがない。少し離れた市街地に出れば毎年やっているが、地元は中途半端な田舎と工業団地の混合物だったため、縁という縁がないのだ。それともうひとつ都会の盆踊りとはどういうものなのか気になった。

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 何か開会式のようなおカタいものをやると思っていたが、高校生のライブのように自然の流れで始まってしまった。いざ始まるといきなりご当地ソングの『東京音頭』。ヤクルトの傘を振るときに流れる曲だ。巨人以外のファンなら例のワードを口ずさんでしまいそうになるだろう。他にも『銀座カンカン娘』など比較的最近の歌も使われていたのは印象に残っている(まあ東京音頭もそれと同じような時期なのだが)。

 見ているだけでも祭り・盆踊りの雰囲気を感じられたので良かった。そして死ぬまでには踊れるようになっておかなければと創造物のお化けにさえ弱い貧弱な肝に銘じた。

 

 そういえば祭りの途中、見知らぬおっちゃんに話しかけられ、2人で酒を飲みながら祭りを楽しんだ。

 おっちゃんは中野あたりで鳶職をしていて、スカイツリーの建設にも携わったらしい。今年で55なのだが、当時18で結婚し、現在24の社会人と17のJK、それとなんと4歳の子供を持つ、とても信じ難い、人ではない絶倫のモノを持つ者だった。もう既に孫もいるらしい。

 見知らぬ上に異色な人生経験を持つおっちゃんには、チャンスとばかりに普段自分の親には聞けないことを沢山聞いた。現在進行形で底なし沼から這い上がっている、いや、寧ろ自らさらに底深くに嵌ろうとしているというべくおっちゃんの、この一言一言の重さと言ったら、このまま押しつぶされて本郷台地に生きた化石として埋まってしまいそうなようなものだ。

 

 おっちゃんとはコミケ終わりからか未だ喧噪な秋葉原を歩いた。上野まで一緒に電車に乗った。思春期がこの年になっても残っている私は、おっちゃんに無理矢理抱き合わされたのに少し恥を感じてしまった。そして何回も握手をし、何回も『君に会えてよかった』と声を掛けてくれた。この言葉はもしかしたらおっちゃんのお世辞かもしれないが、こんなに言われて嬉しい言葉は世界にはないだろう。そして別れの時は来た。おっちゃんは最後の最後まで見送ってくれた。

 

 たまたま運良く座れた帰りの電車の中で1日を回想しつつ、とても暑い、熱い、密度の濃い1日は瞼とともに幕を閉じた。

 

 ありがとう。またどこかで逢えたらいいなあ。

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